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伊賀國 奈垣 下山甲斐守城 (三重県名張市)

(読み):ながき しもやまかいのかみじょう

土塁上から見下ろす主郭

城主の下山氏は、甲斐の武田氏一族と言われており、応仁年間(1467〜1469)に伊賀國奈垣村に住し、この奈垣下山甲斐守城を築城したと言われています。
自領が神宮料であったため、伊勢国司の北畠具教に仕え、この奈垣から北部方面への進出のため、下比奈知に比奈知 下山甲斐守城を築き、永正3年(1506)に下山重信が城主となったと伝えられています。
天正4年(1576)下山甲斐守は、北畠具教を伊勢三瀬館で謀殺した、北畠信雄(織田信雄)の配下となり、伊賀統一を進言。天正伊賀の乱を引き起こす要因となりました。

お城への行きかた

近畿日本鉄道 大阪線 名張駅下車。駅東口バス停から、三重交通バス つつじが丘ゆきバス乗車。つつじが丘南五番町バス停下車。徒歩約35分で登城口。


お城の状況、感想など

登城道進入路   屋敷地?

本日は、奈垣の下山甲斐守城と北畠具親城に登城します。
2年前に登城しました、比奈知 下山甲斐守城の本城にあたりますが、両方とも下山甲斐守城ですのでややこしいですが、本サイトでは、地区名を取りまして、両城を比奈知と奈垣に分けることにします。
近鉄名張駅東口から三交バスに乗車しまして、つつじが丘5番町バス停下車。このつつじが丘と言うのは、名張の丘陵地を削平しましてできました大規模な新興住宅地です。奈垣地区には、地図にあります通り、つつじが丘の南端から丘陵地を下って行きますが、かなりの高低差があります。
つつじが丘を出ますと、言い方は悪いですが、新興住宅地から突然田舎に変貌し、その変化に驚きます。楽しい里山歩きになると思われたのですが、しかしここに来て雨が降り出しました。三重県伊賀地方、本日の天気予報は曇りで、降水確率40%。これならば大丈夫と思ったのですが、雨はだんだん本降りの様相です。30分ほど奈垣の消防団器具庫で雨宿りし、少し小降りになったところで、登城再開することにします。
奈垣地区から奈垣 下山甲斐守城への登城ルートは、以下の地図をご参照していただきたく思いますが、登城口の案内看板が朽ちており字が読めなくなっています。(たぶん「下山甲斐守城登城口」と書かれていたのだと思います。)標柱だけが建っている状態ですが、これだけでも目印になります。この標柱脇の道が山中に続いており、ここが登城口であると確信しました。
奈垣 下山甲斐守城登城口の場所

東の堀切   尾根筋下の横堀

登城口から入りますと、屋敷地かと思われる段々の曲輪群があります。その曲輪群脇を登って行きますと、前方に巨大な土塁を思わせる尾根筋があります。少々道は分かりづらいのですが、この尾根筋に登るよに向かっていきます、
尾根筋に登りますと、左側に向かいます。すると最初の堀切が現れます。奈垣の城は、縄張的には方形の主郭を東と西の曲輪で挟んだような感じで、比奈知 下山甲斐守城と比べると割とあっさりとした印象です。

東の曲輪   東の曲輪と主郭間の堀切

なお歩いてきた尾根筋の南下には、横堀が筋に平行して掘られています。尾根筋に容易に登らせないための堀かと思われます。
東の堀切を越すと東の曲輪です。東の曲輪は東西に長い曲輪ですが、南北には土塁はなく、主郭との境には、堀切に挟まれた2重の土塁があります。
東の曲輪と主郭との境には、はっきりとした虎口がなく、土塁が低くなった南側から主郭に入ります。主郭は植林されているものの下草はなく、非常に見やすいです。

主郭土塁   主郭西の虎口

土塁は高く、伊賀とか甲賀に見られる方形館タイプです。土塁上に登りまして主郭内を見下ろすとその広さが堪能できます。外に目を向けますと、北から東へめぐる空堀には、さらに外側にもう1つ土塁があり、北側の防御を意識した縄張となっています。

西の曲輪と土塁   西の曲輪

主郭西側には、はっきりとした虎口があり、虎口の外は馬出のような小曲輪となり、小曲輪より北に向かうと道が狭まり虎口のような感じになり、主郭との境の浅くなった堀切を挟んで西の曲輪へと続いています。この辺りは大変技巧的で見ごたえもあります。
西の曲輪は北側から堀切のある東側にL字型の低い土塁があり、曲輪自体は自然地形のままのような曲輪です。主郭が結構北側の防御を意識していますが、東の曲輪とこの西の曲輪自体は、防御的には、やけにあっさりとした印象です。

主郭土塁に登る   主郭土塁から見下ろす西虎口

主郭に戻りまして、また土塁上に登ってみました。比奈知 下山甲斐守城と比べますと、高い土塁に見やすい主郭、分かりやすい縄張、また遺構状態など、こちらの奈垣城の方が登城しやすくお薦めできます。
また雨が強くなってきて、しょうがないので傘を出しました。傘を差してでの登城は危険も伴いますが、あとは下城するだけなのでゆっくりと下りることにします。
この後、北畠具親城にも登城したいと思うのですが、この雨ではどうするか迷っています。道を歩きながら雨が止むのを祈るばかりです。

登城日:2019.03.17(日)

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